相続人になるのは誰?知っておきたい「法定相続人」の基本

2025年9月14日

「自分にもしものことがあった時、財産は誰が受け取ることになるのだろう?」エンディングノートを書く上で、多くの人が考えるテーマの一つが相続です。遺言書がない場合、法律(民法)によって財産を相続する権利を持つ人が定められており、この人たちを「法定相続人」と呼びます。今回は、この法定相続人の範囲と順位について、基本的なルールを解説します。

常に相続人となる「配偶者」

亡くなった方(被相続人)に法律上の配偶者(夫または妻)がいる場合、配偶者は常に法定相続人となります。ただし、これは法律上の婚姻関係にある場合に限られ、事実婚や内縁のパートナー、離婚した元配偶者は含まれません。

血族の相続順位

配偶者以外の親族(血族)には、相続できる順位が定められています。上位の順位の人が一人でもいる場合、それより下の順位の人は相続人になることはできません。

  • 第1順位:子
    最も優先されるのが、被相続人の子です。実子か養子か、婚姻関係にない男女間に生まれた子(認知されている場合)か、といった区別はありません。
    もし、子が既に亡くなっている場合は、その子、つまり被相続人から見て孫が代わりに相続人となります(これを「代襲相続」といいます)。孫も亡くなっている場合は、ひ孫がさらに代襲相続します。
  • 第2順位:直系尊属(父母、祖父母)
    第1順位である子や孫が誰もいない場合に、相続権が移るのが、被相続人の父母です。もし父母が既に亡くなっている場合は、祖父母が相続人となります。このように、上の世代へと遡って相続権が移ります。
  • 第3順位:兄弟姉妹
    第1順位(子や孫など)も、第2順位(父母や祖父母など)もいない場合に、初めて相続人となるのが、被相続人の兄弟姉妹です。
    もし兄弟姉妹が既に亡くなっている場合は、その子、つまり被相続人から見て甥や姪が代襲相続します。ただし、兄弟姉妹の代襲相続はこの一代限りで、甥や姪の子がさらに代襲することはありません。

遺言書がある場合

これまで説明したのは、あくまで遺言書がなかった場合の法律上のルールです。遺言書がある場合は、原則としてその内容が優先されます。例えば、「友人に財産の一部を譲る」と書かれていれば、友人は法定相続人ではなくても財産を受け取ることができます。

ただし、兄弟姉妹を除く法定相続人には、遺言書の内容にかかわらず最低限の遺産を受け取れる「遺留分」という権利が保障されています。


相続のルールは少し複雑に感じるかもしれませんが、基本的な順位を理解しておくことは、エンディングノートを作成する上で非常に重要です。誰に、何を、どのように残したいのか。あなたの想いを明確にするためにも、まずは誰がご自身の法定相続人になるのかを確認してみてはいかがでしょうか。

ここに広告が表示されます